その1
「くろべ」と言うフネがある。
訓練支援艦である。
「何をするフネか?」と問えば「無線操縦の標的機を発着、管制し射撃訓練をする艦の支援をするが任務なり」と返ってくる。
つまり標的機の母艦であるわけだ。
ちなみに標的機には大型のファイアビーや小型のチャカなどが存在する。
訓練支援艦の主装備は当然、これらの標的機だ。
前に建造された訓練支援艦の「あづま」は標的機を1機しか管制できなかった。
だがこの「くろべ」は同時に複数機を管制できるようになった。
複数機とは何機か?
3機とする資料があれば4機とする資料もある。
乗員に聞いてみた。
「4機でも同時管制できますが長時間はできません。」との事。
こうした場合は「何分ぐらいできるの?」なんて聞かないのがいい。
「くろべ」より後に建造された「てんりゅう」も4機同時管制となっているが、どこが違うのか聞いてみると・・・
「あっちの方が長く4機同時管制できます。」との事。
どんくらい長くなったのか知りたいがここも聞かないでパス。
ちなみにお値段だが1機で家が2軒買えるくらいだとの事。
「家って幾らぐらいなの?」と聞いたら・・・
「家の値段はよく知りません。」と彼は答えた。
ギャフン!


その2 

標的機用エレベーター

訓練支援艦を保有している国家は日本だけである。
じゃあ、他の国ではどうしているのかって?
射撃訓練はしてないのかって?
そんな事はない。
射撃訓練はしている。
他国海軍でファイアビーやチャカなどの標的機を使用する場合、航空機もしくは地上から発射し陸上の管制塔でコントロールする。
日本でもP2J対潜哨戒機を改造したUP2Jが翼下に2基搭載して運用する事もある。
さて、訓練支援艦は日本独自のフネなのであるから当然、独特な装備が多い。
そのひとつが減揺装置だ。
これによりフネは揺れずに済む。
日本でも訓練支援艦だけに備えられた装置だ。
だがなぜ、揺れてはならないのだろう?
そう言えば他国での運用は陸上の管制塔が前提となっていた・・・。
陸上であれば滅多な事では揺れない。
地震の時は別だけど、わざわざ地震の時に射撃訓練する物好きはいないだろう。
きっと標的機を管制するのには揺れてちゃいけないんだろうな。
でもなぜフィンスタビライザーで揺れを抑えないんだろう?
ヘリコプター搭載艦なんかはみんなフィンスタなのに・・・
おおっ、「続・艦船メカニズム図鑑」にフィンスタは航走中じゃないと効力を発揮できないけど、減揺装置は停泊時でも有効とあるぞ!
きっとこれだな、訓練支援艦は洋上で停泊しながら標的機を管制するんだ。
だから減揺装置と言う特殊な機構でなきゃダメなんだ。
そう思って乗員に聞いてみると・・・
「えっ、航走中でも標的機を管制しますよ。」と彼は答えた。
ギャフン!

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